国民年金基金とは?

第2号被保険者(会社員・公務員)は、厚生年金保険料を納付すれば国民年金保険料も納付したことになり、将来、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できます。

これを、1階の老齢基礎年金、2階の老齢厚生年金で『2階建て』と表現することもあります。

そして、その配偶者である第3号被保険者(主婦・主夫)は、保険料を負担していませんが、国民年金保険料を納付したとみなされ、将来、老齢基礎年金を受給できます。

1階部分の基礎年金だけですが、配偶者の老齢厚生年金があるので老後の生活も安心です。もし離婚しても、婚姻期間の老齢厚生年金部分の半分はもらえます。

問題なのは、第1号被保険者(自営業者・自由業者等)です。国民年金のみの加入となりますので、老齢基礎年金しか支給されず、満額でも月額6万5千円未満と、安泰な老後を過ごせるとは思えない額となります。

しかも、年金支給額は減少していきますし、消費税は上昇するという厳しい現実が待っています。

そこで、第1号被保険者にも老齢年金の2階部分を作り出す国民年金基金の登場です。

第1号被保険者
(自営業者等)
老齢基礎年金 + 国民年金基金
第2号被保険者
(会社員・公務員)
老齢基礎年金 + 老齢厚生年金
第3号被保険者
(主婦・主夫)
老齢基礎年金

上の表を見ていただければわかりますが、これで第2号被保険者の老齢厚生年金部分を国民年金基金で補う形になり、第1号被保険者の老後の生活も安定したものとなります。

掛金も月額6万8,000円以内で自分で選択できるので、ご自身の収入に合わせて無理なく加入できます。

しかも、掛金は社会保険料控除の対象となり、この部分には税金が掛かりません。

国民年金基金の種類

国民年金基金には地域型職能型があります。

地域型は各都道府県に設けられており、その都道府県に住んでいる場合に加入できます。もし、他の都道府県に引っ越した場合は加入資格を喪失し、改めて引っ越し先の地域型国民年金基金に加入することになります。

職能型には現在、次の25職種について国民年金基金が設立されています。

  • 日本弁護士国民年金基金
  • 司法書士国民年金基金
  • 公認会計士国民年金基金
  • 全国社会保険労務士国民年金基金
  • 土地家屋調査士国民年金基金
  • 日本医師・従業員国民年金基金
  • 歯科医師国民年金基金
  • 日本薬剤師国民年金基金
  • 歯科技工士国民年金基金
  • 日本柔道整復師国民年金基金
  • 鍼灸マッサージ師等国民年金基金
  • 貨物軽自動車運送業国民年金基金
  • 全国建設技能者国民年金基金
  • 日本建築業国民年金基金
  • 全国左官業国民年金基金
  • 全国板金業国民年金基金
  • 自動車整備国民年金基金
  • 全日本電気工事業国民年金基金
  • 全国個人タクシー国民年金基金
  • 全国農業みどり国民年金基金
  • 全国損害保険代理業国民年金基金
  • 全国クリーニング業国民年金基金
  • 漁業者国民年金基金
  • 日本麺類飲食業国民年金基金

職能型への加入条件は、その職業に就いていることです。転職した場合は、資格を喪失します。

地域型と職能型、どちらの国民年金基金が良いか

上に挙げた25職種の職業に就いていない方は地域型以外の選択はありませんが、25種類に該当する場合は、地域型と職能型どちらにも加入できます。

その場合、どちらかを選ぶ必要があるのですが、加入対象者の違いだけで、掛金の額や給付の内容は全く同じなのでお好きな方をお選びください。

アドバイスとして、地域型の加入条件は、その都道府県に在住していることなので、引っ越しが多い方は職能型を選んだ方が良いでしょう。

また、職業型の加入条件は、その職業に就いていることなので、転職する可能性が高い方は地域型を選んだ方が良いでしょう。

国民年金基金の加入資格・条件

将来の老齢年金額アップにつながる国民年金基金ですが、加入するには次の条件を満たさなければなりません。

  • 国民年金保険料を納付している20〜60歳の第1号被保険者
  • 上記の家族である20〜60歳の第1号被保険者
  • 国民年金保険料を納付している60〜65歳の任意加入被保険者
  • 地域型は住んでいる都道府県の国民年金基金に加入できる
  • 職能型は25職種に就いている時、その国民年金基金に加入できる

第1号被保険者とは、自営業者や自由業者、フリーター、ニート、無職の方、外国人などのことです。

任意加入被保険者とは、過去に国民年金保険料の未納期間があり、それを補うために60〜65歳まで自分の意思で国民年金に加入している方のことです。

以前は国民年金基金に加入できるのは第1号被保険者のみでしたが、法改正により、平成25年4月1日から任意加入被保険者にも加入できるチャンスが広がりました。

任意加入している方は、老齢基礎年金の満額受給を目指している方や、ちょっとでも満額に近づけようとしている方です。少しでも多くの老齢年金を望むのならば、国民年金基金の加入を検討してみてください。

国民年金基金と国民年金保険料の免除・滞納

国民年金基金は老齢基礎年金の上乗せ給付です。
国民年金保険料を納付した月のみ掛金を支払うことができます。

したがって、国民年金保険料の免除を受けたり、滞納した場合は納付できません。

免除や滞納した場合は、その月の掛金は返還されます。

国民年金基金への加入方法

国民年金基金への加入を検討している方は、まずは資料請求から始めてください。
地域型と職能型の資料請求ページはそれぞれ別フォームとなっております。

国民年金基金の資料請求

リンク先のフォームに必要事項を入力すれば資料が届きます。個人情報もしっかり保護されるので利用して問題ありません。

届いた資料をよく読んで加入するか否かを決めてください。

国民年金基金の資格喪失

国民年金基金の加入員は、次のいずれかに該当した時にその資格を喪失します。

  • 60歳になったとき
  • 任意加入被保険者が65歳になったとき
  • 任意加入をやめたとき
  • 会社員や公務員に転職したとき
  • 結婚して第2号被保険者の配偶者になったとき
  • 他の都道府県に引っ越ししたとき(地域型基金)
  • 他の職種に転職したとき(職能型基金)
  • 国民年金保険料の免除や猶予を受けたとき
  • 農業者年金の被保険者となったとき(付加保険料を納付しなければならないため
  • 基金が解散したとき
  • 加入員が亡くなったとき

基本的に、国民年金基金の加入条件を満たせなくなった時に、加入資格を喪失すると覚えていただければ結構です。

多いのは、
・60歳になって第1号被保険者でなくなった場合
・任意加入被保険者でなくなった場合
・転職して第2号被保険者になった場合
・結婚して第3号被保険者になった場合
・国民年金保険料の免除・猶予を受けた場合
です。

なお、加入員になった月にその資格を喪失した場合は、資格を取得した日にさかのぼって加入員ではなかったものとみなされます。

上の国民年金基金の資格喪失理由を見て、『基金が解散した時はどうなるの?』と不安に思われる方もいると思います。

国民年金基金が解散した時は、残っている財産を加入員と受給者等で分配することになっています。

国民年金基金と付加年金の関係

国民年金基金は老齢基礎年金の上乗せ給付ですが、同じ目的の給付として付加年金があります。

付加年金も第1号被保険者・任意加入被保険者だけが加入できることになっており、加入条件は同じです。

ここで、「両方に加入すればそれだけ将来の受給額が増える」と考える方もいるでしょうが、残念ながら国民年金基金か付加年金かどちらか一方にしか加入できないことになっています

・国民年金基金の加入員になると付加保険料を納付する権利を失う
・国民年金基金の加入員は付加保険料を納付できない
と定められています。

国民年金基金と付加年金、どっちに加入すればよいか?

同じ老齢年金の上乗せ給付という目的なら、どちらに加入すればよいか?と考えるところです。

国民年金基金 付加年金
掛金
月額上限6万8,000円以内で選択
保険料
月額400円
社会保険料控除
全額控除対象
社会保険料控除
全額控除対象
基金が解散したら
損する可能性がある
制度がなくなる可能性
国民年金法で定められておりなくならない

お得度で言えば断然、付加年金です。2年間受給すれば元を取れ、その後はプラスというのは他にはない有利な年金と言えます。

ただ、月額400円しか納付できないというデメリットも存在します。

一方、国民年金基金はお得度では付加年金に劣るものの、掛金の額が多いので受給額はこちらの方が多くなります。

収入が多い方は国民年金基金、そうでない方は付加年金というのが選択方法のひとつとなるでしょう。

※法改正により、執筆当時と閲覧時で差異が生じる可能性があるので注意してください。
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