年金の扶養に入れる条件
保険制度の扶養と言えば、「会社員が私的なケガや病気で治療を受けたとき適用される健康保険」を思いつくでしょうが、この医療保険は労働者本人の他に一定条件の親族も扶養に入って治療等を受けられます。
しかも、扶養家族が増えても健康保険料は変わりません。
当然、「年金の扶養に入って国民年金保険料を払わなくてもいいようにしたい」と考えるでしょうが、その方法がひとつだけあります。
それは、第3号被保険者になることで、所得基準は次のとおりです。
年金の扶養に入るための所得基準
年収が130万円(2016年10月から106万円)未満である。
所得以外の条件については、第3号被保険者をご覧ください。
この金額を超えると社会保険の扶養に入れなくなるため、自ら厚生年金保険と健康保険に入らなければならず、高額の保険料が毎月発生します。
日本政府はパートにも社会保険に加入するチャンスを拡大して、老後の生活を安定させることを名目としていますが、実際には少子高齢化で不足する社会保障費の財源を少しでも徴収することが目的なのでしょう。
「労働者は扶養に入りたいから必要以上に働きたくない」、「会社は厚生年金保険料の事業主負担を避けたい」という共通の利害関係があるだけに、所得基準が下がってもギリギリまでの労働という流れは変わらないと思っています。
なお、所得には「103万円の壁」というものもあり、これを超えると所得税が課税されるという税金上の境となっております。
年金の扶養に入ることのメリット
第3号被保険者になると次のメリットがあります。
- 国民年金保険料を納めなくてよい
- その期間は納付した扱いとなる
- 老齢・障害・遺族基礎年金を受給できる
月額1万6千円以上(平成28年度)の国民年金保険料を納付しなくても、第1号被保険者と同じ条件で年金を受給できるのはとても魅力的ですね。
では、実際に例を挙げて、年金の扶養に入れるかどうかを説明いたします。
年金の扶養に入れるか否か 事例
自営業者の夫と専業主婦のケース
自営業者は第1号被保険者のため、その妻は扶養に入れず、夫・妻それぞれが国民年金保険料を納付しなければなりません。
会社員の妻と専業主夫のケース
会社員や公務員は第2号被保険者のため、その配偶者は年金の扶養に入れます。性別は関係ないので、主婦でも主夫でも問題ありません。入社時・婚姻時に、会社や役所にそのことを伝えて手続きしてもらってください。
会社員の夫とパート収入年200万円の妻のケース
第3号被保険者になれる関係は成立していますが、所得基準をオーバーしているので、妻は自分で厚生年金保険と健康保険に加入することになります。
会社員の夫と事実婚の妻のケース
関係上は夫婦でも、婚姻届けを出していないことを事実婚と言いますが、この場合でも住民票で証明すれば年金の扶養に入れます。
公務員の夫と25歳フリーターの娘のケース
年金の扶養に入れるのは夫婦間のみなので、収入の額にかかわらず娘は年金の扶養に入れません。