日本年金機構が第3号被保険者期間の確認書類を誤送付
2016年4月22日、日本年金機構が健康保険組合の被扶養者約6万人に、『国民年金の第3号被保険者期間の確認と届出のお願い』という文書を送付しました。
しかし、実際には、「企業名が変わった」、「健康保険組合が合併した」等の変更があっただけで、約6万人の内、1万9000人については確認も届出も必要なかったのです。
原因は、企業名等が変わっただけでそのまま被扶養者であるにもかかわらず資格を喪失したとシステムが判断したからでした。
なお、28日にはお詫びの文書が送られ、該当者は届出が不要であることが伝えられています。
第3号被保険者の種別確認が必要なわけ
年金制度の第3号被保険者(主婦・主夫)は、第2号保険者(会社員・公務員)の被扶養配偶者であり、国民年金保険料を納付しなくても納めたことになるメリットがあります。
しかし、該当するに至った時、該当しなくなった時に、それぞれ手続きが必要なのです。
例えば、夫が会社員になった場合は第3号被保険者の手続きが必要ですが、2002年(平成14年)3月までは妻自身が手続きしなければならなかったので、そのことを知らずに届出をせず、未納期間扱いとなることが多くありました。
国民年金法のほとんどは2年の時効と決まっているため、さかのぼれるのも前2年間のみで、届出をしなかったがためにそれ以前は未納期間となってしまう問題が起きたため、例外的に特例の届出をすれば2005年(平成17年)3月以前は2年以上前でも第3号被保険者と認められる制度が導入されています。
そして、今では第2号被保険者の会社を通じて手続きすることになっているので、2005年(平成17年)4月以降はやむを得ない理由がない限り、届け出なかった2年以上前の期間が第3号被保険者期間になることはありません。
このような経緯により、第3号被保険者になったことによる手続き忘れはなくなりました。
しかし、第3号被保険者が資格を喪失する場合の手続き忘れは残存しているのです。
例えば、夫が会社を辞めて自営業になった場合、夫も妻も第1号被保険者になるのでそれぞれ手続きが必要なのですが、妻がそのことを知らずに届出を出さないという問題があります。
他にも、第2号被保険者が65歳になったら被扶養配偶者は第3号被保険者資格を喪失しますし、第2号被保険者と離婚したり、第2号被保険者が亡くなったりした場合などにも資格を喪失するので届出が必要なのです。
手続きを忘れると、まとめて保険料が徴収されるような事態になりかねませんし、最悪、2年以上経過して時効により未納期間となってしまう可能性があるので、第3号被保険者でいられなくなった時は忘れずに手続きしましょう。
国として自動で変更できるようなシステムを作ることが一番の解決策だと思いますが、上記のようなミスをしているようでは難しいと思います。